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2016年8月25日 (木)

ウィルキンソン教授講演録から(2)

Charls_wilkinson

「先住民にサケを獲る権利はあるか?/コロラド大学ロースクール教授チャールズ・ウィルキンソン講演会」(2016年7月30日)の講演録を公開しました。抜粋してお知らせします。


全文はこちらから

この訴訟では、トライブに対する共感的な世論が醸成されました。先住民族ではない大勢の人たちがトライブ側のサポーターとなって、裁判闘争を支援しました。米国北西部の各河川は非常に多くのサケが遡上することでよく知られていたので、サケを巡る裁判としても注目を集めました。

裁判を担当したボルト判事(George Hugo Boldt、1903年−1984年)がまた勇敢な人で、1974年のいわゆるボルト判決(Boldt decision)で、条約にある「入植者と同等」という条件のことを、はっきり「50%ずつ」と解釈してみせました。この判決をきっかけに、サケに限らず、カキなどの貝類、トドやアザラシといった海獣類、オヒョウなどの魚類、カニなど高価な甲殻類も同様に、トライブが50%の権利を有するという解釈が定着します。

交渉の中で「同等の権利」という表現で条約に盛り込まれた文言が、裁判でトライブ側に有利なように解釈されたことは大きな意味を持ちました。この判決によって、先住民族の権限が爆発的に拡大することになったからです。

The Northwest Indian Fisheries Commission (NWIFC)(サケなどの)資源管理を行なうには、漁獲行為を規制する法律を制定する権利を持っていないと不可能です。法律を策定する委員会、紛争を解決する裁判所、違反を取り締まる警察官や、資源量をモニタリングするスタッフも必要です。この判決によって、トライブは一気にこれらのシステムを備えるまでに成長したのです。ピュージェット湾岸の各トライブはいま、連邦政府やワシントン州政府とともに、自然資源管理を共同で担っています。

現在、地球温暖化などにともなう環境問題が深刻化しているわけですが、環境保全運動では、いまやトライブが中心的な位置を占めています。トライブは過去何百年、何千年にもわたってサケなどの自然資源を持続的に利用してきました。サケの生態や個体数に関して詳細かつ正確な知識なしにはなしえないことです。トライブの人たちはサケをスピリチュアルな存在にまで高めてもいます。サケと人間のこうした関係性は一般社会にも影響を与え、アメリカ大統領でさえ関心を寄せざるを得なくなってきました。

サケに始まったトライブの資源管理権はいまではほかの魚介類にも拡大しています。おかげで、1960年代にはゼロだった資源管理部門の職員数は、近隣の郡役場のそれを上回って、ひとつのトライブあたり200~300人に達しています。自前の役場や裁判所も設置され、ほとんどのトライブが数人ずつの裁判官を置いています。病院が設立され、トライブの半分に学校があります。ピュージェット湾岸のトライブにとどまりません。全米で36のトライバル・カレッジが設立され、大半は大学院を併設しています。

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