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2016年8月25日 (木)

ウィルキンソン教授講演録から(3)

Charls_wilkinson

「先住民にサケを獲る権利はあるか?/コロラド大学ロースクール教授チャールズ・ウィルキンソン講演会」(2016年7月30日)の講演録を公開しました。抜粋してお知らせします。


全文はこちらから

じっさい、UNDRIPは優れた文書です。総括的かつ詳細で、非常に道徳的だし、力強く、説得的。いろんな状況を踏まえています。だれでもネットで読むことができます。

先住民族の権利に関する国際連合宣言(市民外交センターにリンク)

カギとなる論点は「グループの権利 group rights」です。起草の当初から、先住民族の権利は「公民権運動の立場の人たちの主張するような〝個人の権利〟にとどめてはいけない」という要望がありました。個々人の権利とは別に、グループ(トライブ)として行使できる権利の獲得が目指されたのです。「グループの権利」は、自己決定権とか主権とか、「諸権利が束ねられたもの collective rights」と表現することもできます。いろんな解釈があり得ますが、これから読み上げる諸権利については誰しも異論ないところでしょう。UNDRIPは先住民族の個人および集団に対して、自己決定権、領土権、漁業権など自然資源に及ぶ権利、教育の権利、開発の権利、知的所有権、文化の権利、そして条約によって認められる権利のあることを宣言しています。

各国政府は法令や政府文書を作成する際に、このUNDRIPを遵守しなければならないと私は思います。報道によるとどうやら日本政府はそうではないようですが、「UNDRIPに法的な拘束力はない」といった日本政府の保守的な論法は、私にはUNDRIPの趣旨をねじ曲げているとしか思えません。

確かに、UNDRIPには署名した各国に対する拘束力はありません。でもだからといって守らなくてもよいわけでは決してありません。「世界人権宣言」(Universal Declaration of Human Rights、UDHR)と同様、UNDRIPは各国に対する強力なガイドラインとして策定されたものだからです。

UNDRIPには個々の権利についての詳細な規定がない、という批判も聞かれます。でも私からすると、UNDRIPが挙げた諸権利には、わざと含みを持たせてあるのです。自己決定の権利=主権が実現すれば、ほかのさまざまな権利も取り戻せることは明らかです。

「グループの権利」として「主権」や「自律」という概念は馴染まない、という人もいます。でもUNDRIPには「自己決定権」という言葉が何度も出てきます。UNDRIPは、世界各国の政府が今後、先人権を尊重しつつ、先住民族のトライブ政府(アイヌの場合はコタン政府)とどう向き合うべきか、方向性を示すものとして非常に重要な文書である、と私は考えています。UNDRIPが採択されて以降、世界中の裁判所がUNDRIPに言及するようになりました。

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