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2013年4月22日 (月)

「北海道大学医学部アイヌ人骨収蔵経緯に関する調査報告書」に関する抗議と要請

 2013年3月、北海道大学は、「北海道大学医学部アイヌ人骨収蔵経緯に関する調査報告書」を報道各社向けに記者会見の形で報告した。

「北大開示文書研究会」は、発足以来、小川隆吉氏と共に北大に対して、「遺骨に関する真相究明」を求めて活動してきた。北大は、2008年「アイヌ民族を先住民族として認める事を求める」国会決議(衆参全会一致)や「アイヌ政策推進会議」等による国の政策にあわせて、所蔵するアイヌ人骨に関する調査をせざるを得なくなったのである。しかし、本報告書では、「発掘」の経緯を明らかにするために不可欠な「野帳」や「アイヌ人骨台帳原本」は不詳とし、医学部関係者や児玉作左衛門教授の遺族等に対する聴取など踏み込んだ調査は一切していない。また、「発掘」についても、経緯が不明なものが多く、客観的裏付けがないにも関わらず、承諾等を得たとの文言や刑事手続きに問われていないことなどをもって、結論として問題はなかったと正当化している。さらに、児玉教授らが発掘した墓地や遺骨には、公表されていないものが多数あるにも関わらず、それらについての調査、報告はしておらず、人骨と同時に持ち去られた副葬品についての調査も一切なされていない。

 このような北大の姿勢からは、過去の誤りを真摯に検証し、反省し、アイヌに謝るという姿勢が微塵も感じられない。研究対象として、利用された当事者・アイヌの心に届くには程遠いものである。報告書の検討の中で浮かび上がったのは、北大医学部の、非人道的で命の尊厳を無視してきた高飛車な姿勢である。将に人権や民族の尊厳を踏みにじる研究姿勢であり、現在も続く隠蔽体質・学問至上主義そのものである。

 私たちは、アイヌ人骨研究がいかなる根拠に基づいた研究だったのか、「発掘・盗掘」がなぜ行われたのか、それらは違法であり、学問倫理に反していなかったかを問い、北大自らがその解明に努力することを求めて強く抗議する。そして、以下のことを北大に求めるものである。

1、北大は、当事者である遺族及びアイヌや市民に対する報告として、だれでもが理解できる、分かりやすい表現による簡便な報告書を早急に公開すること。

2、「発掘」は“遺族の承諾を得た”とする報告は、断定的であり恣意的である。発掘に当たり“承諾を得た”とする証拠や確固たる事実を明確にすること。それが明確にできないのであれば、承諾を得ずに発掘した可能性が排除できないと認めること。

3、副葬品に関する発掘や保管に関して、調査し問題とする姿勢がないのはなぜなのか明確にすること。

4、北大は、すべての資料を公表し、アイヌや市民も参加する調査委員会を設置し、公平かつ客観的な調査(学内の文書調査だけでなく、発掘状況に関する、当事者のアイヌ民族および発掘関係者の証言の系統的な調査)を再度実施して、誠意をもって真相解明に努力すること。

2013年4月20日

シンポジウム「さまよえる遺骨たち」パートⅢ集会者一同 遺骨返還請求訴訟原告一同・北大開示文書研究会

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