« 市川守弘弁護士による意見陳述要旨 | トップページ | シンポジウム「さまよえる遺骨たち Part3」は今週末開催です »

2013年2月11日 (月)

遺骨返還訴訟傍聴記(1)

藤野知明(北大文書研究会、ドキュメンタリー作家)

2回、遺骨返還訴訟を傍聴し、メモをとりながら思ったことがある。

日頃、不信心な自分でもお盆や法事で位牌に手を合わせると、自然と亡くなった人のことを思い出す。「こんなことを言ってたなぁ」「なんであんなことしたのかなぁ」と、まるで昨日のことのように懐かしい気持ちになる。

Img_2564しかし同時に、あの人はもういないし、自分もいつか死ぬという現実に立ち返り、「自分が頑張りますので、見守っていて下さい」とか、「大丈夫ですからおやすみ下さい」と語りかけ、自らを鼓舞する。

つまり墓参りを通して亡くなった人々と対話し、心の安らぎを得ながら、限りある時間の中で、また明日から頑張ろうと気持ちを新たにするわけだ。きっと多くの人が、似たような体験をしていると思う。

不思議なことに、亡くなった人との対話は居間の椅子に腰かけていても、電車の中でも、どこでもできそうだが、なぜか位牌や墓の前に立たないとそんな気持ちには、なかなかなれない。亡くなった人の存在が身近に感じられないからだろう。

だから思う。親族、友人の遺骨を奪われた人々はどんな思いで慰霊をしているのだろう?「自分が頑張りますので、見守っていて下さい」とか、「大丈夫ですからおやすみ下さい」と心の底から語りかけられるだろうか?

奪われたのは遺骨だけではない。亡くなった人たちとの対話の機会を失い、今日よりもよりよい明日を築こうとする力、未来を拓く力を得る機会もいっしょに奪われたのではないだろうか?

北海道大学の関係者で、この件の判断に関わる方々に申し上げたい。同じことが自分の身に起きたらどうするか、目をつぶり、心の声に耳を澄ませて下さい。

もし私が同じ状況になったら、必ず取り返します。他人には「骨」でも、親族、知人にとっては、いまも話ができる「人間」なのだから。そう思わない人がいますか?

「こんなこと、裁判をする前から明らかなんだけど…」メモをとりながらため息をついた。

ついでにもう一言。

北海道大学の関係者で、この件に関わっていない方々にも申し上げたい。皆さんが集う北大がおこなった判断は適切だと思いますか?もしおかしいと思ったなら、それを表現して下さい。

« 市川守弘弁護士による意見陳述要旨 | トップページ | シンポジウム「さまよえる遺骨たち Part3」は今週末開催です »

アイヌ・先住民族・遺骨返還」カテゴリの記事

コメント

それだったら、古墳の発掘もダメですね。

現に祭祀礼拝の対象となり、家族、遺族、子孫の思いを尊ぶべき「お墓」と、3~7世紀の古墳とは、話が違うと思います。
もっとも、古墳だって、北大のように、掘ったものを研究室に持ち帰り、自分の研究に不要なものは段ボールに雑多につめて放置する、なにを掘り出したか、フィールドノートも遺骨台帳も不明だなどというのでは、研究の名がすたるのではないでしょうか。
しかも、ともに埋めてあった副葬品(刀や首輪などなど)も何があってそれがどこに行ったか不明なのです。
アイヌの方の中には確かに承諾させられた方もいるでしょう、研究の名のもとに。でも本当はいやだったでしょうし、このようにぞんざいな扱いをされ、研究内容がどんなものだったかをあらかじめ知っていれば、承諾しなかったでしょう。
原告の城野口さんのお母様は先祖の骨を持って行かれたことで、たいへん悔しい思いをされ、亡くなるまで取り返してほしいと願っておられたそうです。
現にそのようなご遺族もいるのです。
北大は、きちんと調査をして、謝るところは謝り、返すべきものは返す、これがあるべき研究者の姿勢ではないでしょうか。
かってながら、口を出させてもらいました。

Don Xuixote さん、こんにちは。貴重な情報をどうもありがとうございました。

北大童研で世話になった「とだ」です。
ワケあって、今は違う名前(苗字)です。メールを頂けると幸いです。

返信が遅くなり失礼しました。藤野です。
ご無沙汰しました。

この掲示板は北大を含む全国の大学が埋葬されていたアイヌの方々の遺骨、副葬品を蒐集し、
研究目的で長い間、保管し続けている問題について情報発信している「北大開示文書研究会」が
運営しているサイトです。

すみませんがとださんの連絡先を現在、確認できない状態です。
お手数ですが、藤野名義のfacebookの方に改めてご連絡いただけないでしょうか。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/574743/56741579

この記事へのトラックバック一覧です: 遺骨返還訴訟傍聴記(1):

« 市川守弘弁護士による意見陳述要旨 | トップページ | シンポジウム「さまよえる遺骨たち Part3」は今週末開催です »