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2012年9月15日 (土)

国会、政府、裁判所への要請文

北大開示文書研究会は9月14日、被害を受けている3人が北海道大学を相手取って提訴したのを機に、下記の要請文を公表しました。


衆 議 院 議 長 様

参 議 院 議 長 様

内閣総理大臣  様

最高裁判所長官 様

要  請  文
 
 かつて明治期より戦後に至る間、北海道大学医学部の故児玉作左衛門教授など、人類学関係者をはじめとした研究者が国策を背景にした学問の権威を主張して北海道内外のアイヌ民族の墓地から多数の人骨をはじめ副葬品を発掘しました。アイヌ人骨に関心を持つ研究者はアイヌ民族を「滅びゆく民族」と位置づけ、その研究が急務であると、アイヌ民族との間に誠実な諒解もなされないままアイヌ墓地の発掘を続け、1000体を越える遺骨を大学に集め、同時に発掘されたたくさんの副葬品も大学に集められました。しかし、発掘された人骨の歴史的経緯やその後の副葬品の扱いは今日に至るも真相は明らかにされておらず、多くの疑問が残された状態のままです。

 小川隆吉エカシは、真相の解明を願って、北海道大学にアイヌ人骨に関わる文書の開示を求め、大学は一定の文書を公開しました。公開された文書を検討してきた北大開示文書研究会は、北海道大学に対して発掘された人骨の扱いや副葬品の経過などについて回答期限を付して質問しましたが、今日まで、北海道大学から一切の回答を受け取っていません。2012年2月17日、アイヌ人骨の遺族である小川隆吉さん、城野口ユリさんらは「アイヌ人骨及び副葬品」の返還を求めて北海道大学に出向きましたが、北海道大学当局は面会すらも拒否しました。ご遺族は怒りを込めて、本日、遺骨返還と慰謝料請求の訴訟を札幌地裁に起こしました。

 アイヌ人骨は北海道大学以外の旧帝国大学などにも収蔵されてきました。アイヌ墓地発掘は明治政府の北海道「開拓」と植民地政策に伴うアイヌ民族へのレイシズムがもたらしたものであり、アイヌ民族の伝統的追悼や遺骨への畏敬の思いを無視した非人道的な発掘の記憶は今日もアイヌの人々の深い傷となって残されております。日本政府は政府の責任においてアイヌ人骨問題の歴史的経緯を検証し、その歴史的責任を自覚し、責任ある大学と共にアイヌ民族への謝罪と補償に取り組むべきです。

 また、アイヌ人骨に関して、今日に至るも常に研究を優先しようとする態度に疑問を感じます。過去の歴史が示すように、アイヌ民族は研究対象とされ、屈辱を受け続けてきました。今後は遺族とアイヌ民族の了解なしに研究を続けることに強く反対します。現在、文科省において、大学等におけるアイヌ民族の人骨の保管状況等の調査を進めていると聞きますが、保管されているすべての遺骨の研究の中止を求めます。過去への反省と謝罪がなされ、和解があって、はじめてアイヌ民族との合意のもとで研究が再開されるべきです。

 さらに、アイヌ墓地発掘に伴って膨大な副葬品が出土しました。しかし、それらの多くが行方不明になっていることは周知の事実です。しかし、今までこのことはアイヌ政策推進会議においてさえ、何の議論にもなっていません。人骨問題の解決には副葬品問題の解決も不可欠であると考えます。遺骨返還に伴い、早急な調査と返還を望みます。

 以上、先住民族であるアイヌ民族への日本政府およびアイヌ政策推進会議の真摯な対応を強く要請し、応答を求めます。

2012年9月14日

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