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2012年9月 7日 (金)

アイヌ政策推進会議への要請文

アイヌ政策推進会議 座長 藤村 修 様

北大開示文書研究会

開示請求者 小川 隆吉
研究会代表 清水 裕二
研究会代表 殿平 善彦

要  請  文

 アイヌ政策推進会議におきましては、アイヌ民族の意見を踏まえつつ総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進するため、審議を続けてこられたことに敬意を表します。
 わたしたちは、北海道大学に存在する、戦前から戦後に至るアイヌ墓地発掘に伴うアイヌ人骨台帳とそれに関連する文書を精査し、当時「研究」の名目で、道内外でおこなわれたアイヌ墳墓「発掘」の真実を明らかにすることを目的に2008年8月に発足した研究会です。
 わたしたちは前回の要請に加えて、以下の要請をいたします。アイヌ政策推進会議としての回答を求めます。


1.前回要請文の回答を求めます。

 さる、2011年7月12日にわたしたちから要請文を送りました。第3回アイヌ政策推進会議にて「『民族共生の象徴となる空間』作業部会報告書」(以下、「報告書」)が提出され、この「報告書」および今後の進行について要望しました。しかし、なんの応答もない事にわたし共は疑問を感じています。わたしたちの要望をどのように扱ったのかをお聞かせ下さい。


 2.アイヌ民族の先住権に伴う法的措置へ向けて

 この度は、第4回アイヌ政策推進会議、および、第8回「政策推進作業部会」議事概要より、今後の進行について要望いたします。

 一年ぶりに開催された第4回アイヌ政策推進会議の議事概要にも記されている通り、「国会決議から4年が過ぎる中で、総理が替わり、官房長官が替わり、大臣が替わり、事務方が替わり、4年前の熱い思いが冷めたとは言わないが、心配している」(2頁)との思いをわたし達も抱いています。

 2008年6月6日、衆参両議院にて「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が、全会一致をもって可決されました。この決議は、その前年の2007年9月に、国連において「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(以下、国連宣言)が、日本も賛成する中で採択されたことを受け、「その趣旨を体して具体的な行動をとることが、国連人権条約監視機関から我が国に求められている」(決議文)ことであり、政府が早急に講ずるべき施策として、国連宣言を踏まえ、「アイヌの人々を日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること」、および、国連宣言が採択されたことを機に、「同宣言における関連条項を参照しつつ、高いレベルで有識者の意見を聴きながら、これまでのアイヌ政策を更に推進し、総合的な施策の確立に取り組むこと」(決議文)を求めています。

 また、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」第2回会議(2008年9月17日)において、加藤 忠ウタリ協会(当時)理事長のヒアリングでは、権利回復のために立法処置による施策を行うこと、国連権利宣言に照らして権利回復を行なうことを国の責任で行なうよう要望したことが記録されています。

 しかし、その後のアイヌ政策推進会議、各作業部会の議事概要を読みながら、「アイヌ民族との共生象徴空間」構想のみがひとり歩きし、国連宣言に謳われている基本的な先住民族の権利である先住権に関しては一切話し合われてはいないことに疑問を感じざるを得ません。先住民族アイヌの先住権を回復するために、国は尽力するべきです。

 先住権に伴う法的措置をしっかりと論議し、実行へと結びつけることが「国連宣言の趣旨を体して具体的な行動をとること」になるのではないでしょうか。以上の件についてどのようにお考えかお答え下さい。


3.アイヌ人骨返還について

 昨年の6月に出された 『「民族共生の象徴となる空間」作業部会報告書』において、「各大学等に保管されているアイヌの人骨について、遺族等への返還が可能なものについては、各大学等において返還する」(P.8)とあります。
また、第8回「政策推進作業部会」議事概要の議題2の「今後検討を深めなければならない課題」の中に「アイヌの人骨に係る検討」とあり、以下の記述があります。

 「大学等における人骨の保管状況などの調査と並行して、政府において、調査後の人骨の返還に向けた進め方の検討を速やかに進めるとともに、尊厳ある慰霊が可能となるように、関係者の理解を得ながら、人骨の集約施設の在り方、慰霊への配慮の在り方、研究との関係などを検討・整理する必要があるとしている。」(6頁)

 これらの記述に関し、二つの疑問を感じます。

 ひとつは、さる、2011年12月2日付で、国立大学法人北海道大学佐伯浩総長宛に、同大学によって発掘・収集し研究資料として活用した「アイヌ人骨及び副葬品」について、そのご遺族である三名が返還と謝罪の申入れをしました。しかし、北海道大学側はたいへん不誠実な態度をとり、その申入れを拒否しました。遺骨を返還すると述べているにも関わらず、具体的に返せという遺族に応じないのは大問題です。ご遺族は怒りと悲しみの中で、法的手段に訴えようと準備を進めています。

 このような閉鎖的な対応をしている大学に、遺骨の返還をまかせようとするアイヌ政策推進会議の姿勢も問題であると考えます。この問題は北海道大学のみのものではありません。北海道大学以外の旧帝国大学などにも人骨が収蔵されてきました。アイヌ墓地発掘は明治政府の北海道「開拓」と植民地政策に伴うアイヌ民族へのレイシズムがもたらしたものであり、アイヌ民族の伝統的追悼儀礼を無視した非人道的な発掘の記憶は今日もアイヌの人々の深い傷となって残されております。日本政府は政府の責任においてアイヌ人骨問題の歴史的経緯を検証し、その歴史的責任を自覚し、遺骨の収集と今日までの処置に関して、アイヌの人々の意に反して収集した過去を反省し、アイヌ民族への謝罪がなされるべきです。そして、北海道大学のこのような不誠実に対し、早急な対応をするべきです。以上についてのお考えを聞かせて下さい。


4.研究優先への疑問

 第二点に、上の記述にもあるように、ご遺骨の慰霊と共に、常に研究がついていることに疑問を感じます。過去の歴史が示すように、アイヌ民族は研究対象とされ、屈辱を受け続けてきました。今後もさらなる研究対象として屈辱を受けることに危惧を覚え、わたしたちは反対します。遺骨はご遺体の一部であり、故人の特定がなされようがなされまいが、ご遺族が特定しようがされまいが、ご遺体であり続けるものです。それを「物」あつかいにし、一方的に研究対象にすることは問題だと考えます。北海道大学を含め、現在、文科省において、大学等におけるアイヌ民族の人骨の保管状況等の調査を進めていますが、保管されているすべての遺骨の研究の中止を求めます。過去の反省と謝罪がなされ、和解があって、はじめて合意のもとで研究が再開されるべきです。アイヌ政策推進会議としてどのようにお考えかを聞かせて下さい。


5.副葬品の調査と返還について

 さらに、アイヌ墓地発掘に伴って膨大な副葬品が出土しました。しかし、それらの多くが行方不明になっていることは周知の事実です。しかし、今までこのことは、他はもちろん、アイヌ政策推進会議においてさえ、何の議論にもなっていません。これらは大学の管理責任にとどまらず、アイヌ民族の財産を散逸させた責任が具体的に問われることになりましょう。人骨問題の解決には副葬品問題の解決も不可欠であると考えます。遺骨返還に伴い、早急な調査と返還を望みます。

 以上、先住民族であるアイヌ民族への日本政府およびアイヌ政策推進会議の真摯な対応を強く要請し、応答を求めます。

2012年9月7日

連絡先事務局 〒077-0032 留萌市宮園町3-39-8
アイヌ民族情報センター内 三浦忠雄
Phone.Fax 0164-43-0128

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コメント

なぜ今またアイヌ政策推進会議なのですか?
「アイヌ民族の意見を踏まえつつ~~審議を続けてこられたことに敬意を表します」のなら、結果も尊重するのでしょ?会議に出ているアイヌの代表さんたちは、なぜ沈黙を守っているのですか。

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